1月末の段原紙在庫が59万9千トンで前月より6万トン弱増えた。原紙値上げ直前のタイミングなので、在庫はいったん落ち込むものと思われたが、逆に増えて過去最多を更新した。駆け込み需要の思惑が外れたのか、それともメーカー間の優勝劣敗の差が激しいのか見えづらいが、値上げ前としては苦しい展開だ。
▼第3四半期の決算発表を経て、通年で王子HDが過去最高益を見込む一方、業績予想の下方修正を発表したレンゴーもいる。古紙の調達価格についても「上昇基調にある」と説明するメーカーがいれば、「変わっていない」というメーカーもいて、玉虫色の様相。値上げを見据えた微妙な言い回しがにじむとともに、脱炭素投資という要因を折り込む中で、果たして段原紙の値上げは完遂するのか?
▼1月に段ボール製品のトーモクが値上げを発表し、2月にコカ・コーラが大型2Lペットボトル飲料の値上げに踏み切ったことでいよいよの感はある。段原紙の需要回復とさらなる先高感がどこまで醸し出せるか。今後もエネルギーコストは高止まりが続くとみられ、段階的なコストアップの転嫁も求められる。今回、理由に挙がらなかった古紙価格を折り込むならば、近い将来、再値上げが起きても不思議ではない。
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