
▼先月の二十七日夕、浅草ビューホテルで催されていた全原連の新年賀詞交換会の会場が、一瞬ざわつき始めた。興奮気味にスマホを操る者、電話片手に席を離れる者――。日本紙パルプ商事(JP)が名古屋の大手古紙問屋、福田三商を買収するとの一報が伝わったからだ。株式交換による買収額は約三十七億円に上り、古紙問屋のM&Aでも過去最大規模となる。
▼福田三商は一九三六年創業の老舗で、中部地区を中心に十九ヤードを展開。扱い量は年間五十万トンに上り、二〇一五年十一月期の売上は六十九億円だった。JPは、最大手の紙卸系専門商社で、古紙リサイクル事業にも注力。この買収によって、ヤード数は一挙に三十二カ所まで増え、古紙の扱い量(商社取引含む)は百七十万トン前後となる。
▼今後、古紙市場は縮小し、ヤードも飽和状態の中で構造不況にさしかかる。福田三商は古紙扱い量では全国六番目、ヤード数では八番目に多いが、売上では十二番目。一四年夏の本紙インタビューで齋藤会長は「合わない仕事はやらない」「新規ヤードも出さない」と合理的な考えを語っていた。JPとシナジー効果を求め、大決断に踏み切ったとみられるが、再編が進まなかった古紙業界に与える心理的影響も大きいだろう。
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