2025年7月7日 オピニオン » 1630号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 段ボール古紙の調達価格が、段原紙の市況上昇のなか、据え置かれている。段原紙は2017年以降、5回目となる値上げが発表され、当時と比べても価格は大幅に上昇。一方で、段ボール古紙のいわゆる「建値」は18円のままで、ベースアップがなされていない。実勢価格も24~26円まで上昇局面もあったものの、需給バランスが緩めば再び18~20円前後に収束してしまう。

▼段原紙の値上げ幅を積算すると、実に89%もの上昇。仮にその6割が浸透したと見積もっても52%の上昇だ。段原紙の製造コストの中で、古紙原料が占める比率はかつての3割強から、いまや2割弱まで下がっている。相対的に段ボール古紙の価格が長期的に低迷している。人件費の高騰や燃料や設備機器などのコスト上昇に直面しているのは問屋や回収業者とて同様である。

▼背景には、段ボール古紙の輸出競争力の低下がある。輸出比率は18年=15.4%から24年=12.8%まで下落。中国の輸入禁止もあり、かつての輸出が価格形成に脅威だった時代は終わった。また、業界団体による価格交渉力の低下も無視できない。以前は業界団体が主となり古紙価格改定を交渉する場面も見られたが、その動きも乏しい。各単組によるリサイクル税の要望といった限定的な活動止まりだ。

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