中国の富陽を最初に訪問したのが05年。まさに中国の製紙業夜明けの時期で、古紙を満載に積んだトラックが市場に集結。富陽地区の中小製紙メーカーの購買担当者が値踏みをして交渉を行い、交渉が成立すればメーカーの工場に向かうという仕組みだった。競りというよりは個別交渉で、この市場での出来不出来によってその日の生産量が大きく左右された。
▼しかし中国の大手製紙メーカーの寡占化が進むにつれて、古紙の調達方法も変わる。どの業種でもそうであるように「生産の安定は原料(供給・品質)の安定から」がセオリー。また古紙ヤードの機械化も進み、このような「日替わりのバラ物」よりも「安定供給のベール品」に変化。富陽の古紙市場は衰退していった。全盛期は中小メーカーが600社以上あった。
▼ベトナムのバクニン市は、日本の富士や以前の中国の富陽のように、中小製紙メーカーが密集している地域。250社ほどの中小メーカーが所狭しと林立しているが、現在は環境問題で過渡期を迎えている。以前まで排水は近隣の河川に垂れ流しており、スラッジは川沿いに無許可で埋め立てられていた。ベトナム政府は25年までにバクニンの全製紙メーカーに対して、排水基準と環境遵守の徹底を図る。
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