2022年7月8日、安倍元総理が凶弾によって倒れ、帰らぬ人となった。事件が起きたのは、応援演説に駆け付けた近鉄西大寺駅前で、私の自宅がある平城駅の隣駅である。周辺には奈良ファミリーという商業施設があり、また奈良・京都・大阪・橿原・吉野方面を繋ぐ基幹駅でもある。こんな身近な場所で、後世に残る凶悪事件が起きるとは、夢にも思っていなかった。
安倍元総理は3188日、8年8か月という歴代最長期間、総理大臣を務めた。安倍氏の功績を挙げればきりがないが、私個人としては、他国のトップとも互角以上に渡り合える本当のリーダーだと感じていたので、非常に残念でならない。
「天の原 ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に 出でし月かも」。
今から1300年前、遣唐使として渡った阿倍仲麻呂が詠んだ句である。幼き日に奈良の地で見た輝く月を想い出し、望郷の思いを募らせた。16歳で唐に渡り、51歳の時に帰国しようとしたが、帰路の途中で嵐にあい、生涯故郷に帰れなかった。大きな影響力を持った政界のリーダーも、故郷に帰ることなく生涯を終えた。ご冥福をお祈りします。
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