▼先週号でAPP特集をレポートしたが、触れていなかった部分がある。米国とEUの両方で、実質APPを標的にしたアンチダンピング関税(不当廉売)が近々課せられる見通しだという。
▼米国貿易委員会は、中国及びインドネシアからのコート紙輸入が、補助金と不適正な価格により、国内産業に損害を与えているという決定を10月に発表した。これによってAPPの中国品はアンチダンピング関税と相殺関税の合計43.65%、インドネシア品で28.1%が課せられ、早ければ今月から実施される。
▼これら一連の動きに対し、中国政府はWTOに提訴する構えを見せている。APPは「この関税は一部のメーカーによる意図的なもので、米国式の自由競争に反し不当である。」と反発している。実際、米国での中国品の輸入コート紙のシェアは12%と年々増加傾向。しかし中国品よりもシェアが高い韓国品(16%)は一切課税の対象になっていない。このことから、完全にAPPが標的にされていることが分かる。
▼世界の大手製紙メーカーが軒並み2割以上減産を強いられる中、APPはアジアの豊富な森林資源と安い労働力を武器に、さらに増産体制を加速している。今後の各国の対応と同社の動向に注目が集まる。
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