▼発生物である古紙など資源物は、廃棄までに一定の期間があり、家庭が倉庫機能の一端を担っているともいえる。この家庭での片付け術を指南したコンマリこと近藤麻理恵著の「人生がときめく片付けの魔法」が世界中で大ヒット。三十四カ国で出版され、発行部数は累計三百四十万部を突破した。この方法がユニークなのは「ときめき」を判断基準にしているところだ。
▼古紙に関連するところを引いてみよう。本棚にある本は一度すべて床に並べた上で、「積み上げた本を一冊一冊手にとって、残すか捨てるか判断」。その基準は、「触ったときにときめくか」で決して中身を読まない。「いつか読むつもりのいつかは永遠に来ない」と畳み掛ける。書類に関しては、「全捨てが基本でまったく問題なし」と一刀両断。日本中で「ときめき」が消えれば、おそらく古紙の発生は急増するだろう。
▼家庭内で分別排出が徹底されているのは日本だけで、他の先進国ではシングルストリーム(混載収集)が主流。金銭的インセンティブがあるわけでなく、こうした分別回収の成否は、同書が指摘するようなマインド面が大きい。日本発の片付け術がウケたように、日本式の分別リサイクルの妙技も、他国の関心を惹く可能性を秘めている。
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