2014年3月24日 オピニオン » 1075号

コラム【虎視】1075号

コラム「虎視」

▼猪瀬直樹は著作「道路の権力」で道路公団民営化に挑む戦いを記録し、政策決定の歪んだプロセスを焙り出した。政府の諮問機関について次のように指摘する。「各界の意見を反映する、とはタテマエで、結局、族議員ならぬ族委員も混じっているし、そうなると発言時間を制約されて言い放しで終わってしまう。こうして多くの審議会は官僚組織のお飾りになりやすい」。

▼容リ法の見直しを進める会合は、産業構造審議会の下部機関で26名の委員と座長で構成されている。容器包装にあたる八品目の素材は、それぞれ着眼点が異なり、関連する事業主体も幅広い。それを同時並行的に検証し、実りある結論を導くのは無理があろう。問題点をうやむやにして改正に至った前回のように、今回も尻すぼみの議論に終始することが危惧される。

▼容リ法の制定から20年近くを経て、容器包装を取り巻く社会情勢は大きく変化した。中国市場の台頭により再生資源の輸出ルートが拓け、価格は軒並み高騰。紙製容器に替わって雑がみ回収が浸透し、PETボトルは有償取引が定着した。輸出市場を冷静に分析した上で、有価で回る素材は可能な限り市場原理に委ねるべきだ。廃棄物行政は本来の市町村責任に立ち返ることが求められている。

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