円安にも関わらず、輸入紙の影響を最も受けているのが家庭紙だ。海外メーカーは日本市場を戦略的な販路と位置づける。23年の出荷量に対する輸入品のシェアは11%に達し、今年4月のティッシュの輸入量は過去最多を更新した。特にソフトパック入りのティッシュとペーパータオルが伸長。価格競争力のある海外製品の流入は、今春の製品値上げにも影響を与えている。
▼需要が堅調に推移し、一人あたりの消費量が依然として多いのも家庭紙の特徴だ。国内需要は205万トンで、過去10年間で8%増加している。年間16キロ/人の消費量は、他の先進国と比べても突出している。洋紙メーカーはパルプ生産設備を活かし、追加投資や参入にも積極的だ。新規参入としては、中越パルプ工業や北越コーポ(計画は凍結中)がある。
▼コロナ禍後、タオルペーパーの需要は一巡し、業務用は再びジェットタオルに置き換わった。また、グラフィック用紙の需要減少が加速する一方で、家庭紙向け古紙の需給はバランスを保っている。これは洋紙向け古紙の需要減少とグリーン購入法の配合率引き下げの影響だと考えられる。しかし、このペーパーレスの流れが続くと、どこかで古紙の発生がガタ減りする危機が訪れるとの懸念もある。
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