2015年3月、サッカー日本代表監督に就任したのがハリルホジッチだった。厳格で高圧的であり、どの国でも選手とのトラブルが絶えず、これまでにワールドカップ出場を決めたのに大会直前に3回も解任されるという珍しい経歴を持つ。日本でも同様で、18年4月、ロシアW杯の2ヵ月前に解任された。
縦に早い攻撃を求める以外はそれほど戦術の引き出しがなかったが、最もうるさく言っていたのが「デュエル」だった。彼が監督に就任してから、日本でもデュエルという言葉が頻繁に報道されるようになった。ちなみにデュエルはラテン語のデュオ(2人)から派生した造語で、世界中で意味が通じるという。サッカーのデュエルとは、2人で争っている時、つまり1対1においての競り合いの強さを指す。ハリルはデュエルに勝つことがチーム全体の勝利に繋がると説いた。
以前から日本サッカーは、規律や運動量、技術は優れているが、デュエルとメンタルの強さがないと言われており、強豪国にはその部分で劣っていた。しかしハリル以降、デュエルでも強豪国と対等に渡り合えるようになってきた。
日本代表の遠藤航選手は、2年連続でドイツのブンデスリーガでデュエル王に輝き、その活躍が認められて昨年、英国のリバプールに移籍した。世界最高峰のプレミアリーグでも、日本のデュエル王が十分活躍出来ることを証明している。試合に勝つには、メンタルでも1対1のデュエルでも勝つ。それで初めてチームとして世界と対等に戦える。今後の日本代表が楽しみだ。
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