RISIによると、世界の家庭紙市場は過去50年間で7倍の規模まで成長し、年平均4%で伸びてきたという。2021年の世界の消費量は4330万トン。トップ3社は①エシティ、②APP、③キンバリー&クラークだ。APPは1998年の家庭紙進出から20数年で世界2位に成長。インドネシア、中国、豪州、米国に工場を構え、年産能力は約200万トンに上る。
▼近年、日本へ輸入紙を伸ばすのも、APPとエシティの持株会社である維達紙業だ。23年上期のティッシュは輸入紙が22%のシェアを占め、前年比5ポイントも増えた。熾烈な競争の中国市場では、購入パルプのメーカーの採算が悪化。維達の株は売却に出され、APPなど複数社が名乗りを挙げている。家庭紙はパルプが最大のコスト要因で、一貫生産こそグローバル市場で生き残る道なのだ。
▼こうしたグローバルな市場再編をよそに、日本のニッチな市場に息づくのが古紙ものの中小家庭紙メーカーである。トイレットのシェアでは4割強。依然、中小メーカーは50社近くを数え、社歴100年を越すメーカーもある。古紙を地産地消しながら必需品を安定供給できるモデルは、息が長いことを歴史が証明している。古紙発生減をどう乗り越えるかが目下の課題だ。
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