プラ新法施行から1年が経過した。紙化による新規需要が期待されたが、実際の生産規模や販売額は大きく膨らまなかった。各社の試みは環境貢献企業としてイメージ向上にはひと役買ったものの、紙・板紙の需要減を補うほどの規模感はない。強いてあげるなら、クラフト袋はその役割が見直され、脱プラの切り替えとして一部で進んだ。
▼だが、CO2排出量でみたとき、クラフト紙は果たして環境性能が高いと言えるのか。原料のチップはオーストラリアから輸入した場合、原木を伐採してから破砕し、日本まで約7000キロをチップ専用船で輸送する。しかも重量の半分は水だ。一方、古紙は排出元からヤードを経由して、都市型工場であれば20~30キロ程度で運び込める。そのエネルギー使用量の差は歴然としている。
▼日本製紙連合会が2011年に紙・板紙の品種別にCO2排出量を調査したことがある。パルプ種別にも排出量が示されるなど、興味深い内容だった。その後、経年調査がなされることもなかったが、この春に段原紙のみ、全段連の主導のもと再調査が実施された。製品の単位あたり排出量は競争力に結び付きつつあり、情報開示に抵抗感も滲む。各社で環境格差が現れた証でもあろう。
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