「ファストファッションはもはやオールドファッション(=時代遅れ)」。環境負荷の大きい衣料業界に対して、2020年にEU委員会がこう断罪したのだ。大量生産・大量廃棄の過程でGHG排出量は全世界の1割を占め、第2位の環境汚染産業と言われる。EUは30年までにリサイクル繊維の使用を義務付け、売れ残り品の廃棄も禁止する。
▼最新の流行に日本も敏感に反応。製造メーカーや小売ブランドは環境配慮素材へ次々と切り替えた。だが、廃棄後をみれば、未回収品は年間約50万トンにも上っている。そのほとんどが自治体での焼却処分だ。古着・古布はリユース用途が主であるため、その限界も一因だった。①田舎で発生したものが敬遠される、②選別の過程で1~2割のごみが混入する、③中古品の輸出相場の影響を受けやすい等の課題があった。
▼各社が競う繊維to繊維の循環スキームが、こうした課題を乗り越え、ごみ化している古着・古布の掘り起こしに繋がるか、期待される。再生繊維に戻すケミカルリサイクルの技術は確立済みだ。今後はスケールアップに向けて、①原料の収率(歩留まり)をいかに上げるか、②再生できる繊維の対象品をいかに広げるか、③大量の古着・古布をいかに集めるにかかっている。
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