2021年2月1日 オピニオン » 1412号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 90年代~00年代初頭、日本国内は古紙の大余剰時代だった。余り物に価値なしで価格も低迷。およそ10年間、古紙価格は下がり続けた。需給が国内で完結していたためで、価格の決定要因は国内需給が全てだった。90年代以前は、回収の多くを担っていたちり紙交換業者によって、自然と需給調整が行われた。メーカーの買値が上がれば率先して古紙を回収し、買値が下がれば離散して回収量が減る。

 ▼2度のオイルショックで大儲けをしたちり交だったが、その後の反動安や長期的な価格の低迷により、徐々に体力を奪われた。各自治体が集団回収による古紙回収を促進し、90年代からは行政回収を開始する自治体も増えた。回収方法の変化により、ちり交もこれまでの流しによる古紙回収では食べていけず、行政回収や集団回収の仕事に鞍替えしていった。

 ▼集団回収や行政回収が普及し、リサイクルやごみ減量施策に全国の自治体が取り組むうちに、国内で消費できる量より遙かに多くの古紙が回収されるようになった。それが余剰問題として古紙業界全体を苦しめた。リサイクルを推進し、古紙回収量が増えれば増えるほど、余剰して価格が下落する。つい20~30年前は、古紙業界全体がそんなジレンマを抱えていた。

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