2011年5月23日 オピニオン » 935号

コラム「虎視」 935号

コラム「虎視」

▼インドを旅すると人生観が変わると、三男から聞かされたり、本で読んだりしていたが、半信半疑だった。それと旅というとバカンス(休暇を利用した行楽、避暑、保養など)を想像してしまうが、インドはそんな甘い我々の期待を見事に粉砕してくれる。過酷な現実を見ると、人は誰しも物を考えずにはいられなくなるのかもしれない。

▼バザール(商店街)に面した安宿(水洗トイレにトイレットペーパー、シャワーに冷房も付いているので、インドでは中級クラスとのこと)に泊まり、出歩くのはその都度、値段交渉が必要なリクシャーを利用する生活を体験してみると、人生観が変わりそうな予感がしてきた。とくに強烈な印象を受けたのは、列車の旅。駅構内には座って列車の到着を待つ椅子などなく、一般の旅客は地面に座り込むか、手荷物を枕に寝ころんで列車の到着を待っている。

▼ニューデリー駅から列車が発車してまもなく、さらに驚かされる光景を見る。線路沿いに延々と続くバラック小屋というか、スラム街(貧民街のこと)だ。インド人のスラムなのか、周辺国(バングラディシュ、ネパール、アフガニスタンなど)の難民なのか、見分けはつかなかったけれど。女性はサリーをまとっていたのでインド人?

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