
四国の臨海部に建つ大王製紙・三島工場は、167万平米ある敷地に17台のマシンを備え、年間210万トンもの生産量を誇る。立地を活かし、チップからの一貫生産によって洋紙、板紙、家庭紙を抄造し、古紙配合や多品種化の要請にも対応してきた。単一工場としては国内最大規模だけであるだけでなく、かつては世界でも最大規模だった。
▼それが中国の台頭によって、あっさり塗り替えられた。ナインドラゴンの東莞工場は240万平米の広さで、15台のマシンによる生産能力は計525万トンにも上る。生産品種は段原紙、白板紙、印刷用紙のみ。臨海工場だが原料の大半が古紙で、2016年の輸入実積は456万トン。世界で最も古紙を消費する工場だ。ちなみに同社の太倉工場も年産300万トンの規模があり、他にも中国には100~200万トン級の工場がごろごろある。
▼そして今度は、APPがインドで500万トン級の工場を計画しているという。南東部の州で政府の許可も取得済みだとされる。紙・板紙の需要が1400万トンに満たない市場で、古紙の消費も800万トン止まり。性急な計画にもみえるが、需要を先取りする工場となるのか。また中国に替わる古紙の消費国となるのかも注目される。
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