2018年11月19日 オピニオン » 1304号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 今年、ナインドラゴンが米国で3カ所のパルプ工場を買収した。旧RFP社は、年間24万トンの再生パルプを生産できる工場で、他2工場でも古紙パルプラインを増強するという。3工場で古紙パルプの生産能力は年間100万トンを超えてくるとみられる。中国が輸入古紙に対する規制のハードルを上げる中、明らかに再生パルプを代替輸入する動きが加速している。

 ▼米国の古紙利用率は39%に対し、日本は64%。バージンパルプ配合の高い米国より、除塵やDIPといった古紙利用技術は日本のほうが長けている。雑誌や雑がみ、難処理古紙を使いこなすのもお家芸だ。しかし、洋紙市場の縮小から日本の古紙パルプ設備は余剰化傾向にある。そこへ各国の環境規制の強化で再生パルプのインバウンド需要はますます強まるだろう。

 ▼これまで純粋なオーナーの立場で日本の製紙産業に外資が参入したことはない。市場の閉鎖性、独自の商慣習や言語コミュニケーションなどが参入障壁だった。ただ、外資参入といっても、提携、協業、資本参加といろいろな形がある。製品市況でも近年は輸出入が増え、国際価格の水準と連動しつつある。古紙の有効利用や事業の継続性の観点から、外資参入がいつ実現しても不思議はない。

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