家庭紙向けの古紙である模造・ケントが新聞古紙の価格と同じになったり、色上が雑誌より安くなるということは過去にはなかった。今回の価格体系は前代未聞である。90年代後半から2000年代前半にかけて主要三品のメーカーへの売価が一桁価格に転落した時、雑誌が5円前後とすれば色上は7円~8円だった。いずれも工場着値。今回、古紙もの家庭紙メーカーはこれまでの価値観を壊した。新しい価値観を創造する覚悟があるのかどうか。
▼この状況に至った背景を考えると①オフィス古紙、機密書類、難処理系古紙など、多様な古紙利用をすることで模造・ケント、色上の産業系古紙の消費が減った②洋紙のDIP設備増による産業系古紙の消費増という内憂が、リーマンショックのあと洋紙の内需の大幅なシュリンクで消えた③外患であった雑誌の輸出価格が大きく下落した④東日本大震災で復興需要から製品価格が上昇したが、その後の価格修正はことごとく不発に終わっており、原料にコスト転嫁せざるを得なくなったーなど。
▼価格が安くなれば新たなニーズが生まれるとみたい。かって国内洋紙が産業系古紙を積極利用し、再生紙の需要拡大の引き金となった。今回の新たなニーズはアジア輸出市場で生まれる?
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