▼中国の国内古紙が、いわば狂乱相場の様相を呈している。九月に段ボール古紙が二千八百元/トン台(=四十七円/キロ前後)を付け昨年の約二倍まで跳ね上がった。中国政府に輸入ライセンス枠を絞られた製紙メーカーが国内品へ殺到したためである。順調に段原紙価格に転嫁が進んだことも原料高の一因で、値上げサイクルを繰り返している。
▼先日公表のナインドラゴンの六月末の中間決算によると、利益が前年の約四倍まで伸長。九月頭には今年四度目となる原紙値上げを実施済みだ。世界的に段原紙と段ボールの生産一貫化進むが、これに中国は逆行。二大メーカーであるナインドラゴンとリー&マンは、段ボールの加工分野をもたず段原紙生産に徹する。エンドユーザーとの接点を欠くからこそ、果敢な値上げに踏み切れるのだろう。
▼だが、こうした一方的にも映る商売が永続するのだろうか。中国のネット通販最大手のアリババは、一日に五千五百万個のパッケージを使い、包装資材のコストも大きい。現に創業者のジャック・マー氏は「二〇二〇年までにパッケージを五〇%減らす」と表明。エアーキャップでの配送も増え始めたといい、他パッケージに切り替えが進めば、いずれ段原紙が供給過剰に陥っても不思議ではない。
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