▼いずれ中国も古紙を自給できる日がやって来るのだろうか?日本はかつて古紙が不足する輸入国だった。それが今や回収が消費を上回る輸出国だ。中国でも回収量が伸び、品質向上も著しいという。統計上の回収率は四八%だが、製品付随で外に出る分を差し引いた正味の回収率は六〇~七〇%に達するとみられている。
▼日本の古紙輸入量がもっとも多かったのが一九九一年の八十五万トン。このうち米国からの段ボールが四十九万トンを占めた。このとき回収率は五一%、自給率は九四%だった。つまり回収率を数ポイント上げるだけで、完全自給は解決できたわけだ。中国の自給率は六二%で、年間三千万トン近くを輸入古紙に頼っているのとは次元が異なる。
▼日本でも輸入のピークから輸出国に転換するまで約十三年かかった。当面、中国にとっても輸入古紙は欠かせないはず。なのに、日本の古紙に対する風当たりは厳しい。一番の理由が品質だ。現場で水分や異物混入を歩引きできる国内品と違って、輸入古紙はクレーム・代金交渉が煩雑である。日本品は割高で品質が伴っていないとの声は強まるばかり。輸入がゼロになる日は遠くとも、品質と近接性が強みだった日本品が国内品や他国品に代わる流れも起こり始めている。
2025年03月17日
コラム「虎視」
シリコンバレー発のGAFAなどの新興企業がもてはやされる陰で、米国の製造業は着実に衰退してきた。製造業付加価値[...]
2025年03月10日
コラム「虎視」
愛媛県四国中央市で紙づくりが始まったのは江戸時代半ばの1750年頃と言われている。豊富な水と原料に恵まれたこと[...]
2025年03月03日
コラム「虎視」
丸住製紙が今年3月末で新聞用紙の生産を終了する。花形だった新聞用紙事業は今は昔である。新聞の普及に大きな役割を[...]
2025年02月24日
コラム「虎視」
トランプ大統領の顧問を務めるイーロン・マスクは、南アフリカからカナダを経由して米国に移り住んだ移民の一人である[...]