2016年4月4日 オピニオン » 1175号

コラム【虎視】1175号

コラム「虎視」

▼高齢化社会の到来は古紙回収の形も変えるだろうか。二〇二五年にも六五歳以上の人口は三割を超え、高齢者の独居世帯も七百万世帯に達する。国立環境研究所が昨年実施した「高齢者のごみ出し支援に関するアンケート」によると、九割超の自治体が高齢化によってごみ出し困難な住民が増える懸念を抱いているという。ごみ出しや分別排出が滞れば、ごみ屋敷化、集団回収の存続危機、資源の回収減など多くの課題が浮上する。

▼すでに支援制度を設ける自治体も二割に上る。「ふれあい収集」の名称で戸別収集を実施する政令市や中核市が目立つ。六十五歳以上で要介護など一定の条件を満たせば、可燃ごみや資源物の訪問回収を行うもので、横浜市では昨年三月時点で五千世帯超を対象に実施。予算や人員に限界もあるが、安否確認やトラブル発見にも繋がっている。

▼故人となった後の「遺品整理」も、家族や親近者から望まれるサービスである。遺品は一般廃棄物に該当し、収集・処理にハードルがあったが、北海道の帯広市が遺品整理に特化した一廃の収集運搬許可を創設し、八王子市でも一廃の対象範囲を広げる動きがある。各地で遺品整理と不用品収集を融合させたビジネスを手掛ける民間業者も現れ、新たな回収方式を試みている。

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