▼二〇二〇年度までの古紙利用率の目標は、一%引き上げた六五%の案でまとまりそうだ。資源有効利用促進法に基づき政府が策定し、今後、パブリックコメントや審議会での答申を受けて、最終決定される。古紙の利用率は既に高水準で一四年度に六四%を達成した。生産の六割を占める紙の利用率が四〇%弱で、四割の板紙が九〇%超と、紙向けの利用向上が課題である。
▼利用率を一ポイント上げるには、約二十七万トンの古紙消費増が必要だ。ただ実際には、生産が堅調な板紙が全体の比率を押し上げ、自助努力なくとも利用率は上がっていく。九〇年代後半から二〇〇〇年代前半にかけてDIP設備の増設で紙向け利用が広がったが、近年は新聞・雑誌・上物の発生減の上、価格は高止まりと逆風が吹く。バージン副産物である黒液利用の重要性も以前より高まった。
▼古紙の供給面は回収ルートが多様化し、掘り起しが一巡。利用増には、むしろ需要面での開拓を期待したい。特に輸入紙に浸食される家庭紙やPPC用紙において「再生紙」の環境価値を対抗軸に打ち出せないか。エシカル消費(地球環境や社会に配慮した消費行動)の購買層も拡がりをみせる。偽装問題以後の再生紙離れを取り戻す消費者マーケティングが求められている。
2025年04月21日
コラム「虎視」
日本では商品や容器包装等で、リサイクルしやすい設計がこれまでにも行われてきた。その一例が、かつて家庭や企業に配[...]
2025年04月14日
コラム「虎視」
17年に発刊された「アマゾンが描く2022年の世界、田中道昭著」という本に出てくる近未来像がある。無人コンビニ[...]
2025年04月07日
コラム「虎視」
概ね売上10億円以上の古紙問屋を対象に業況調査アンケートを実施したが、回答率は3割強にとどまった。経営状況の公[...]
2025年03月31日
コラム「虎視」
2018年から開始した中国のナショナルソードにより、鉄スクラップも輸入禁止となった。しかしその前から中国は世界[...]