2004年9月6日 オピニオン » 605号

コラム「虎視」 605号

コラム「虎視」

▼今年1-7月の中国の古紙輸入量は723万トン。前年比37%の驚異的な伸びで、数量にして194万トンもの増加だ。年間では1,200万トンを超えるかもしれない。これだけ中国の輸入が増えているので、供給国である日米欧の古紙需給が逼迫し、価格も上昇すると予測されたが、需給は均衡し、輸出市況も落ち着いている。なぜか。

▼この原因としてまず考えられるのが、日米欧での古紙の発生・回収が大幅に増えていることだ。我が国でみると、①中国という大きな輸出市場が台頭してきたことで、安心して集めることに専念できるようになった②かっては赤字輸出だったが、輸出価格が国内価格に比べて高止まりするようになった③廃棄物業者がごみの処理分野からリサイクル分野にどんどん進出してきたーなどが回収増の要因としてあげられよう。

▼この結果、今年の古紙の回収量は前年比100万トン増えると予想されている。回収増分が輸出に回っているので、国内需給は逼迫することなく均衡しているわけだ。ところで輸出価格が国内価格より4円も5円も高くなると、この均衡が崩れ、国内に古紙が回らなくなる。国内と輸出価格が現在、キロ1、2円しか変わらない。内外格差の縮小も均衡が維持されている要因のひとつ。

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