
▼再生トイレット原紙の専抄メーカーである丸茂製紙は新鮮だった。家庭紙は製紙メーカーが加工まで手掛ける一貫生産が当然だからだ。薄利多売な家庭紙分野で生産を拡大し、利益をきっちり出す。それを投資や分配に回す経営にも驚かされた。家庭紙メーカー数が半減したとはいえ、百数社がひしめく市場で、同社の差別化戦略が光っていた。
▼製紙業界は各品種の水平的なシェア争いだけでなく、川上から川下に向けた垂直的統合も進展した。これを最も体現したのが板紙分野だろう。レンゴーとセッツの合併に始まり、王子グループが森紙業を傘下に入れるなど、段原紙生産と加工の融合が進んだ。段原紙のシェアは①王子グループ25%、②レンゴー21%、③大王グループ15%、④日本製紙14%(2012年)。一方の段ボールは①レンゴー28%、②王子グループ23%、③トーカン7%、④大王グループ5%(2011年)。
▼二強が縦に横に勢力を拡げて、凌ぎを削る構図だ。板紙は完全に構造不況を脱したといえる。寡占化は収益性を高めたし、一貫化は古紙価格の高騰にも弾力的に対応してきた。しかし、段ボールの激しい販売競争からカルテル疑惑が浮上。再編の功罪なのか、公取委の調査結果が注目される。
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