2022年5月30日 オピニオン » 1477号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 3月21日をもって新型コロナウィルスの感染防止措置が解除され、コロナ後の「新常態」ともいえる経済環境に面している。古紙問屋から聞こえるのは、深刻な発生減という嘆きに近い声だ。関東商組32社の4月の入荷量は3年前に比べ、段ボールで3%減、新聞で34%減、雑誌で14%減、裾物三品合わせて11%減った。

▼コロナ禍が変えたのは、感染対策を理由にデジタル化を加速させ、それを習慣にしてしまったことだ。約1万人が働く東京都庁では16年度に年間2億枚のコピー用紙を使用していた。「都政改革」の一環として17年度から都庁のペーパーレスを開始。さらに20年から50%削減という高い目標を掲げ、進捗状況を見える化することで畳みかけた。21年度には9千万枚まで減らし、55%削減を達成している。

▼都が徹底していたのは、紙の総量規制まで設けたことだ。各局で調達できる紙の上限を設定し、年度途中で50%超過した局は購入を原則禁止するなど進捗を細かく管理。一方で、仕事の質の向上を実感してもらえる配慮も施し、質が下がったと答えた職員は約1割に留まった。今後さらに70%削減を目指すという。耳の痛い話であるが、不可逆的な流れであり他自治体や企業全般にも拡がるであろう。

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