2021年6月7日 オピニオン » 1429号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 古紙問屋は、産業分類で古紙卸売業に位置付けられる。ただ、集荷・選別・加工といった労働集約型の機能から、流通だけを担う卸売業とはやや特性が違うとの指摘もある。労働分配率など経営指標の比較ができないからだ。業種指定を変えれば税制面や人件費に対する補助が変わる可能性もあるが、逆に製造業では消防法など法規が厳しい面もある。

 ▼古紙ヤードというのも、産廃・一廃処理施設のような法律上の明確な定義がない。かつて建場と称した集荷基地だったのが、ベーラーを置いて効率化・大規模化を図り、リサイクル工場に発展してきたものだ。廃棄物処理法の制定が1970年で、ベーラーが本格普及してきたのが80年代。専ら物収集の延長にある加工施設のような位置づけで今日まで来たというわけだ。

 ▼古紙の持ち去り対策から、廃棄物処理法を一部改正し、古紙問屋を届出制にして遵守事項を設けるとの案が出ているそうだ。古紙の買い受け先の身元確認を行い、違反すれば業務停止といった処分も下るという。だが、数量と紐づけずに抑止力に繋がるのかとの疑問は残る。何より業種がグレーゾーンでの利点を享受し、適格事業所といった業界団体での認定にも取り組んできた中で、法制化すれば自らに矛先が向く可能性すらある。

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