中国の新疆ウイグル自治区で生産される綿の使用を巡り、アパレル業界が揺れている。人権問題が取り沙汰され、強制労働に加担しているとみなされるからだ。ファッション業界紙のWWDジャパンによると、中国で生産される綿花の90%強が新彊綿で、実際には大半の衣料品で使用。日本の衣料品は生産の約7割を中国に依存するので、アパレルメーカーは難しい局面に立たされているわけだ。
▼意外なところで影響を受けているのがDP(ディゾルビング・パルプ)だ。新疆綿の代替素材としてレーヨンが注目を集める。この原料に使われるのがDPだからだ。昨年までコロナ禍でアパレル向けが不振だったのが一転。価格も急騰し1100ドルを付けている。製紙用パルプより通常150~200ドル高い程度だが、2月以降は300ドルほどの値差も付く。
▼日本でDPを造るのは王子製紙の米子工場、日本製紙の江津工場の2工場だけで、年間計15万トンほど。世界の需要は700万トンほどで、中国で150万トンほどの生産量がある。中国の工場はスウィング・ミルといって、BKPからDPに生産シフトができる。価格が上昇すればこぞってDPを造り始めるため、これが製紙用パルプ逼迫の遠因にもなっている。
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