2020年4月6日 オピニオン » 1372号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 異様な春先の光景だ。桜咲き乱れる名所や繁華街は人影まばら。訪れる先々で普段との落差に衝撃を受ける。インバウンド需要を見込して、積極投資を仕掛けた産業も数多あるが、そのリスクは古紙市場も同じ。海外輸出に依存する問屋は市況が崩れると経営も行き詰まる。昨年からの市況下落で危機モードだったところにコロナショックが襲った。

 ▼感染者数のせり上がり次第では日本でのロックダウンも現実味を帯びる。その場合、古紙回収はどうなるのか?他国の例をみると、医療など必要不可欠なサービス以外は経済活動を制限。スーパーや食品店などは営業継続が可能である。そこで発生する段ボール回収もサプライチェーンに組み込まれ継続されている。だが大幅な回収停滞は余儀なくされ、収集時の安全確保など危機管理がこれまで以上に求められるだろう。

 ▼米国では最大手の廃棄物業者であるウェイスト・マネジメント社が複数の州で古紙の回収を停止。MRF(混合廃棄物処理施設)も一時閉鎖に追い込まれている。コロナ対策だけでなく、人手不足や市況低迷による採算悪化も大きい。複合要因で米国のリサイクルシステムは崩壊の危機にある。同社でも不透明な輸出をなるべく避け、国内循環比率の引き上げに動いている。

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