またもトイレットペーパーが店頭から消えた。SNSやネットを介して消費者の不安心理が増幅。業界団体や大手メディアのアナウンス、安倍首相の説明にも関わらず、買い占め騒動が起きた。皮肉にも、元大王製紙会長の井川意高氏がNews Picksに記したコメントが分かりやすく的確だった。引用すると、
「トイレットペーパーは、日本人1人あたり(女性の方が多く使うが、男女均して)だいだいひと月に3から4ロール使います。つまり、一般的な1パック(8ロール入り)で、1世帯ひと月分。」
「一方、トイレットペーパーのメーカー在庫と流通在庫は、合わせて1〜1.5ヶ月分にくらい。」
「嵩張って軽いので輸送効率が悪いうえに単価が低いので、海外からの輸入は割りに合いません。だから、ほぼ国産。」
「買い溜めした分は、家庭内在庫として積み上がるだけ。メーカー在庫流通在庫が、家庭内に移動しただけなので、必ず反動の売り上げ減に見舞われます。」
「元々製紙業は、損益分岐点が高いので、(中略)設備稼働率90%以上で回してます。小売りの強い要請で、無理して増産かけても、どうせ1ヶ月2ヶ月後には、反動売り上げ減で、生産調整をせざるを得なくなり、70%とか80%の設備稼働率に落ちて、生産コスト上がって大赤字。」
「そのうえ、売れないからと、必ず小売りから売価値下げを要求されて、これまた赤字幅を拡大してしまう。往復ビンタを喰らうようなものです。」
「現状、在庫が充分あるのではなく、(実需に対して)供給能力は充分にある、というのが正しい表現でしょう。」
業界の情報開示は適切だったのか。広報のあり方に工夫の余地はありそうだ。
2025年06月30日
コラム「虎視」
2015年に日本マテリオと共催して、古紙ジャーナル韓国ツアーを開催した。
▼その時に家庭紙メ[...]
2025年06月23日
コラム「虎視」
韓国には業界紙というものが存在しないという。その理由は主に3つある。
▼①そもそも各業界[...]
2025年06月16日
コラム「虎視」
日本には売上高1兆円超の上場企業が177社ある。その顔ぶれの変化は産業構造の移り変わりを映す。近年ではキーエン[...]
2025年06月09日
コラム「虎視」
各国の新聞用紙生産量は、ピーク比で米国は95%減、中国85%減、韓国77%減、日本は60%減。世界中どこを見渡[...]