2020年2月10日 オピニオン » 1364号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 中国がくしゃみをすると世界が風邪を引く。そう言われて久しいが、新型コロナウイルスの感染拡大は予想以上の打撃を与えそうだ。春節明け以降も中国の都市部で働く人は自宅待機。多くの製紙工場のマシンも休転しているという。この影響で世界経済のGDPを0.8%押し下げるとの試算もある。一方、中国政府は1500億元(2.3兆円)を注ぎ込む景気対策を決めた。

 ▼震源地である武漢市を2017年秋に訪れたことがある。台湾系の榮成紙業が竣工した湖北工場を取材するためだった。国際空港は2010年に出来たばかりで真新しく、道路網も急速に整備されている最中で、いかにも新興都市という印象だった。沿岸部よりも、今後の発展が見込まれ、湖北省にはナインドラゴンや山鷹紙業も新工場を設け、段ボール原紙の急速な需要増が期待されてきた。

 ▼湖北省の紙・板紙生産量は、7番目に多い325万トン。輸入古紙は、上海港で内航船に積み替えるため、運賃が4倍近くになる。榮成・湖北工場でも国内古紙を8割ほど使っていく方針だった。だが今、物流網が寸断され、中国全域で国内古紙の回収は停滞するだろう。輸入古紙についてもコンテナ船の寄港中止や配船停止などから発注キャンセルが生じている。

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