古紙の在庫水準が昨年末の輸出価格の急落以降も、予想に反して穏やかに推移してきた。1年前の今頃は在庫が膨れ上がり、焦燥感が募っていたが、今年はなぜか安定在庫が続いたのである。昨年の需給急変を乗り越えて何が変わったのか?
▼考えられるのは古紙の発生が大きく減っていることだ。これは近年の製品の輸出増大が関係している。昨年の紙・板紙の輸出量は過去最多の202万トン。一方、輸入量は2012年をピークに減り続け、昨年は107万トンだった。この結果、紙・板紙の国内消費は過去3年間で100万トンも減り、出超傾向が続いている。市場縮小する紙分野だけでなく、古紙を多用する段原紙が50万トン超も出るようになり、市中で出回る古紙流通量が減った。製品の輸出が増えると古紙として回収されずに古紙需給はタイトになる。これが在庫急増に至らなかった背景だ。
▼発生減は古紙問屋の扱い量と売上の減少に直結するため、本来は逆風となる。ただ昨年末より国内向けが輸出よりも高い価格体系が続くため、深刻なダメージが現れていない。輸出市況が問屋の業績を伸ばす環境は一変した。かつて輸出市場がなかった時代のように、いかに国内製紙メーカーの販売枠を確保するかが、問屋経営の肝となっている
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