2019年4月22日 オピニオン » 1325号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 新元号発表に続いて、2024年上半期を目途に、1万円札・5千円札・千円札の3種類のデザインの変更が発表された。また500円硬貨も刷新される。紙幣デザインの変更は、2004年以来、20年ぶりとなる。

 ▼1万円札の顔となるのが、日本の資本主義の父と言われる渋沢栄一。本紙1242号の書評で、渋沢栄一著「論語と算盤」を取り上げたので、覚えている読者も多いはず。氏は約500社の会社設立と約600の社会公共事業の設立に関わった。その中でも王子製紙(当時抄紙会社)を創業した功績はあまりにも大きい。日本の製紙業の生みの親であり、育ての親でもある。

 ▼渋沢氏は幕末から明治に変化した2年間、徳川昭武の欧州視察団に随行。その時に英国のロンドンタイムス社を訪問したことで、文明の発展には新聞事業が欠かせないことを実感した。またその翌週には英国銀行を訪問し、紙幣製作所を見学。当時の日記には「紙幣の製造きわめて精緻で、方法もまた厳密」と記されている。これが1867年11月のことである。その後大蔵省に出仕し、紙幣や有価物証券類の製紙・印刷を国内工場で行うように進めて行ったが、まさか150年以上経って、当の本人が紙幣の顔になるとは思っていなかっただろう。

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