中国税関当局が発表したところによると、5月4日から6月4日までの1カ月間、実質的に米国からの古紙輸入を停止することが明らかとなった。
中国向けに古紙などの再生資源を輸出する場合、世界各地にあるCCIC(中国検験認証)が船積み前検査を実施することをシッパーに義務付けている。しかし、北米地域からこの船積み前検査が実施されず、検査済み証も発行されないため、ほぼ完全に輸出がストップする。5月3日までに出荷された分については、中国の税関において100%のコンテナ開梱検査が実施される。
こうした突然の措置は米中の貿易戦争の一貫と捉える見方もあるが、米国の再生資源業界にとって大きな打撃となることは確実である。日本を含めた他国からの輸出については同様の措置は発表されていない。
今後、米国の古紙は他アジア諸国へ振り向けられるため、こうした他国向けの古紙市況の軟化は必至とみられる。一方、中国は日本などから調達を拡大する可能性もあり、米国の代替需要によって日本からの輸出価格が急騰するとの観測も出始めた。
ただ、中国の製紙メーカーが古紙輸入を増やすにも、インポートライセンスの取得・残余が前提となっており、今年は小出しで発行されてきた中でどこまで中国メーカーからオファーが増えるか未知数。また日本でもドレー(輸出用コンテナ)の確保が困難となっており、窮余の需要にどこまで対応できるかは不透明な状況となっている。
米国からの古紙輸出量は月間150万トン前後。そのうち6割ほどを中国向けが占めている。
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