
風光明媚な庭園に囲まれたDIC河村記念美術館(千葉県佐倉市)が、今年3月末でその歴史に幕を下ろした。20世紀美術を軸に質の高い収蔵品を誇り、地域住民や美術ファンに長年親しまれてきた存在だ。運営母体のDICは、印刷インキや有機顔料などを手がける化学メーカーだが、閉館の背景には、資産効率の向上を求める株主の意向があったとされる。
▼企業の文化的領域にまでアクティビストの圧力が及ぶのは、正直やりきれない。今年9月、王子の野球部が都市対抗野球で優勝し、黒獅子旗を手にしたことは記憶に新しい。多くの社員や関係者が応援に駆けつけ、運営側でも一体感が生まれたという。大王製紙が毎年開催する「エリエールレディスオープン」も、企業文化を体現する大会として定着している。
▼紙需要の縮小や工場閉鎖に伴い、廃部を余儀なくされたチームも少なくないが、企業によるこうした有形無形の文化活動の意義は大きい。社員の帰属意識や誇りを育み、企業アイデンティティの形成にもつながる。ただし、文化活動がいかに充実していても、本業の業績低迷が続けば持続は難しい。製品値上げでも苦戦が伝えられるなか、起死回生の逆転打に大きな期待を寄せたいところだ。
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