雑誌フォーブスで「日本人長者番付」という企画がある。個人の資産保有額でトップ50人を毎年調査したもので、ユニクロの柳井社長やソフトバンクの孫社長ら錚々たる顔ぶれが並ぶ中、この2023年版で43位に付けたのが大栄環境の金子文雄社長だった。同社の創業メンバーの一人で、総資産は1540億円に上る。
▼大栄環境は1979年の創業で、収集運搬から中間処理、最終処分まで手がけ、2022年末に東証プライム市場に上場した。高い成長力で、2030年の売上が今の倍の1300億円程度も手に届く範疇とみる。時価総額も約2700億円に上り、環境関連の上場企業の中で突出する。経営努力が実り、市場からも評価され、経営者が莫大な財産を築く。横並びの廃棄物や再生資源の業界で希望のある話ではないだろうか。
▼株式公開することのもう一つの意味は、公共性を得ることだ。財務情報を公開するだけでなく、企業として目標の達成や社会的責任を果たす必要が生じる。日の目を浴びることが少なかった業界で、社会的な評価を高める意義も大きいだろう。アニマルスピリッツと呼ばれる、個人の欲望が端緒だったにせよ、結果的に上場して社会貢献を果たせるところが、会社組織の発展のユニークな面である。
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