2020年9月21日 オピニオン » 1394号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 グリーンロジテックが事業譲渡すると聞き、2011年3月の名古路紙業(現ナコジ)の本社ヤード閉鎖に伴う事業縮小、2014年6月の太田紙興の事業撤退に続く系譜だと感じた。共通するのは上物問屋として事業を拡げつつ、都内に幾つか不動産の収益物件を保有することだ。儲かる時に儲けて資産を築き、機をみて潔く撤退する。王道だが簡単にできることではない。

 ▼古紙問屋を取り巻く環境は厳しい。中国の変節によって市況は低迷し、紙の需要減から上物古紙の発生は急減している。販売面でも買い手市場なので、苦戦続きである。働き方改革に伴う人件費の上昇も重荷となっている。今回の譲渡にはこうした背景もあった。事業を広げた問屋ほど逆風が強いことを物語る。概して以前のような儲かる商売ではなくなった。

 ▼古紙問屋の経営者に適性があるとすれば「逞しさ」か。典型的な労働集約型の業種であり、ガテン系の従業員を束ねる人間的パワーが要る。後継者に無理矢理継がせるより、プレーヤーが減ることは業界にとってもプラス。その中で従業員の雇用を守るためにどういう選択肢がベストなのか、合理的に判断した結果なのであろう。古紙と家庭紙の二本柱で急伸中の坪野谷紙業に、経営は委ねられた。

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