2019年6月17日 オピニオン » 1332号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 世界的に古紙市況が暴落する中、アジアでは連動して段原紙市況も軟化している。だが、日本の市況はいわば独自体系。段ボール古紙はキロ18円、製品は中芯で60~62円、ライナーで70円前後を維持している。海外相場より10円以上も高い古紙を買い支えるのは、①日本のリサイクルシステムの維持、②製品価格への影響が念頭にあるからだ。

 ▼特に古紙と段原紙の連動性は、どちらかが崩れると共倒れになる構図。段原紙の代理店(流通サイド)に聞くと「製品価格が崩れることはない」と強気。製紙メーカーも「古紙価格を基準価格より安く買わない」と明言している。今のところ、どちらかが市況の足並みを乱す気配は乏しい。他方、韓国や台湾からの輸入紙も微々たる量で、圧倒的に安いわけでもなく、驚異にはなっていない。

 ▼そこへ2社2台の転抄マシンの計画が発表されたので、製品需給が急速に緩む感覚に陥ったが、稼働開始はまだ先の話だ。目下、急激にダブついた段ボール古紙をどうさばくかが喫緊の課題である。製品や古紙として出血輸出、緊急備蓄、荷止めや受入れ制限、果ては逆有償と選択肢は限られている。業界は1997年の余剰期、2008年の大暴落を乗り越えてきたが、再び試練に直面している。

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