2019年4月1日 オピニオン » 1322号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 米国との貿易摩擦が過熱したのは高度成長期の日本も同じだった。60年代に繊維、70年代に鉄鋼、80年代には農産物やサービス分野が巻き込まれた。89年の日米構造協議で一定の収束をみせたが、日本経済の長期低迷が米国との摩擦を弱めたともいわれる。だが、日本は同盟国の関係から今だ米経済への依存体質から脱却できないでいる。では、中国との貿易摩擦はどういう結末を迎えるのか。

 ▼米国による保護主義は結局、中国が米国の影響をなくす状態を作り出すのではないか。例えば紙・板紙産業をみても、中国は環境保護主義の立場を取りながら、古紙を多用する段原紙などの生産拠点は東南アジアなどへ移転を進めている。中国資本のメーカーが東南アジアで生産すれば、米国の25%報復関税の影響から免れられ、安価に古紙を調達することができる。

▼余剰生産能力を海外に移転するのは、中国の肝いりの政策である「一帯一路」構想の流れとも合致する。古紙パルプという段原紙工場に比べて中途半端に思える投資は、将来的に中国からマシンの移転も検討しているためである。今後、中国の紙・板紙生産は減少に転じ、東南アジアでの生産量が爆発的に増えて、中国資本による水平分業体制が広がっていくのだろう。

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