先週の新年号で創業から300年以上続いた老舗問屋、川善の盛衰を取り上げた。誰もが1目置く存在だった問屋がなぜ廃業したのか、素朴な疑問が出発点だった。取材の過程で多くの方に資料や情報を提供下さったことをこの場を借りて御礼申し上げたい。
古紙リサイクルの流れを振り返ると、①和紙くずを抄き返し利用した時代、②洋紙由来の上物古紙を坪上げで集めた時代、③包装革命後の裾物古紙が主流となった時代、④グローバルに古紙が流通する時代と4つに分けられる。川善は②→③の変化で躓いた。さらに、幹部の放漫経営が追い打ちをかけた。④の到来を見ずして潰えたわけだ。
ただ業界の礎を築いたことに違いはない。業界団体の設立を主導し、川善で修行して独立した問屋も数多い。背中を追って、創業100年を超える古紙問屋は全国で20社を数える。中小企業の事業継承問題が叫ばれる時代にあって、後継者にも比較的恵まれている。まだまだ古紙問屋は息の長い事業なのである。
昨年からの古紙バブルも長い時間軸からみると一瞬のこと。数10年に一度あるかないかの出来事だろう。市況変動に一喜一憂することなく、長期的な事業運営が今こそ求められている。いつか川善の社歴を塗り替える問屋が現れることを望みたい。
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