2016年9月12日 オピニオン » 1196号

コラム【虎視】1196号

コラム「虎視」

▼世界的企業に成長したファーストリテイリング、通称ユニクロ。その前身は、山口県の小郡商事という小さな洋服店だった。二代目の柳井正氏は、以前から安いカジュアルウェア店を出店したいと考えていた。三十五歳で社長に就任した一九八四年に、広島市にユニクロ一号店を出店し、瞬く間に消費者の心を掴んだ。

▼十年前に発刊した柳井正氏の著書「一勝九敗(新潮社)」。家業からの脱皮に始まり、挑戦と試行錯誤を経て、ユニクロが急成長を果たした過程が綴られている。このタイトルには、十回挑戦して一回成功すれば良いという意味が込められている。

▼興味深いのが、経営者目線から見た人材育成。以前はイエスマンを好み、経営者の手足として即断即決を武器に会社を急成長させてきたが、ある段階まで行くと自分だけの能力では限界がある。また優秀な人ほど手足でいることに満足せずに辞めていき、人材に対するジレンマが大きくなった。

▼そこで柳井氏はそれまでのワンマン方式を改め、十名ほどの経営チーム方式を採用。「良い会社は、社長が思ったことを実現できにくい会社だ」と考えを改めた。社長の思いつきに対して、違った目線で冷静に対等に意見を言える参謀が必要だという。

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