2016年9月5日 オピニオン » 1195号

コラム【虎視】1195号

コラム「虎視」

▼以前の日本では、古紙価格は国内需給によって決まっていたので、常に張り詰めた緊張感があった。しかし現在は、国際価格の価格決定要因が多く、国内価格もそれに影響を受けることが多い。また以前は供給過剰になると、回収業者が離散したりゴミ化するなどして需給バランスが取れていたが、現在では余ったから燃やせば良いという訳にはいかない。

▼古紙の需給ギャップや余剰問題は、業界として永遠のテーマ。ずっとストックできる鉄やプラと違い、紙は腐ってしまう。九〇年代に古紙余剰問題が深刻化した時には、古紙パルプ設備を全国に設置してパルプ化して保存するという話や、冷凍保存ができないかといった話も語られたという。

▼結局は赤字輸出や焼却という形で需給バランスが取られた。どんな商品でも需給によって価格が決まるが、古紙に関しては近年集めれば売れる状況が続いており、古紙問屋の関心事は、販売や需給ではなく、もっぱら集荷の方である。

▼今回の月別の古紙需給調査では、問屋が売りたい時期とメーカーが欲しい時期の需給ギャップが生じていることが、データ上でも明らかになった。近年、問屋やメーカーが在庫量を増やす動きは、この時期的な需給ギャップを埋めることも狙いの一つとなっている。

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