2015年7月6日 オピニオン » 1138号

コラム【虎視】1138号

コラム「虎視」

▼六月下旬、「某メーカーが段ボールの建値を上げるのではないか」との観測が問屋の間で拡がった。納入問屋を集めた会での積極発言が端を発したとのこと。一方、ある大手問屋に聞くと「(値上げが)あるとしても秋頃ではないか」と直近の値上げの可能性を否定した。二〇一四年五月以来、建値改正の動きはない。
▼段ボールは問屋店頭でキロ十五円がオフィシャル価格。輸出価格は米国の影響や円安で上向き、再び問屋の手取りが二十一円台に乗せた。内外格差は六円以上。昨年から国内メーカーが進めてきた段ボール原紙や段ボール箱の製品値上げはおおむね浸透した。内外格差の拡がりと製品価格の改善で、古紙の建値上げの素地は整ったともいえる。
▼輸出価格並みの極端な購入価格は一部だとしても、すでに実勢相場は上がったとの見方は共通する。ただ「建値では一トンも買えない」と言うメーカーと、「建値でも一部買っている」と言うメーカーの間で、微妙な温度差はある。需給がタイトな都市部で中心に買い集めるか、地方を含め広く調達するかの違いがあるからだ。こうした意味で事実上、全国一律価格も崩れた。仕入れが連動するので「建値はこのまま、上乗せ分を増やして」との意見が問屋の大勢を占めるが。

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