コラム「虎視」1023号

コラム「虎視」

▼昨夏、北越紀州が大王製紙とその関連会社株を創業家(正確には高雄、彌栄子、意高、高博の四氏を指す)から購入し、二二%を持つ筆頭株主に。関連株は大王製紙に譲渡した。これで創業家と大王製紙の対立が解消したと思っていたら、高雄氏の内部告発、ある大王社員の金融庁などへ告発状の配布、関連会社・川崎紙運輸のインサイダー取引疑惑(北越紀州株の二%を取得)などが明るみに出て、北越紀州と大王の関係にもヒビが入る。

▼ここからは本紙の感想。創業家は手持ち株を手放す時に、北越紀州と大王の経営統合も起こりうることを視野に入れたと思う。大学卒業の年に倒産という辛酸をなめた高雄氏。八人兄弟の長男として大王を再建し、突っ走ってきたが、いまや中興の祖ともいわれ、その経営手腕への評価は高い。兄弟の英高氏は大王製紙の専務で現経営陣の一人。その大王を内部告発するというのは苛烈にすぎるし、仮に現経営陣を一掃したとしても大王のお家騒動として禍根を残す。それこそ大王は沈み逝く泥舟(告発した社員の表現)となろう。高雄氏は大王の再建に手を貸すことはあっても告発するという行動をとるべきではなかった。大王の経営が一日も早く軌道に乗ることを祈る。

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