物流の2024年問題は、静脈分野でも深刻だ。ある排出業者は、廃棄物収集業は構造的に疲弊していくだろうとの懸念を漏らす。慢性的なドライバー不足に、残業時間の上限規制が合わさり、さらなる人員増に迫られる。だが、一般の運送業に比べて知名度や労働条件でも不利。労働力不足を補えないならば、収集インフラを維持できなくなる。構造的に事業縮小は避けられないというわけだ。
▼既にネット通販の爆発的需要で物流危機は起きていた。宅配便業者がどう乗り越えてきたのか振り返ると、まず12~13年に佐川やヤマトが運賃を値上げし、シェア至上主義と決別。最大の荷主であるアマゾンも16年に無料配送を中止した。以来、「届いて当たり前」だった消費者の意識も変わった。同時にEC企業にとって、配送料の増加が常に悩みの種になっている。
▼同じことが静脈分野にいえるのだろうか?寡占化が進んでおらず、収集費用の大胆なテコ入れは難しい。むしろオープンプラットフォーム化や自社物流化が加速する気配が漂う。前者は管理会社が台頭し、後者も家電リサイクルの分野などで拡がりつつある。DX活用も期待されるが、何より「捨てて当たり前」だった排出者が真剣にごみ抑制に取り組む転機にもなりうる。
2025年03月17日
コラム「虎視」
シリコンバレー発のGAFAなどの新興企業がもてはやされる陰で、米国の製造業は着実に衰退してきた。製造業付加価値[...]
2025年03月10日
コラム「虎視」
愛媛県四国中央市で紙づくりが始まったのは江戸時代半ばの1750年頃と言われている。豊富な水と原料に恵まれたこと[...]
2025年03月03日
コラム「虎視」
丸住製紙が今年3月末で新聞用紙の生産を終了する。花形だった新聞用紙事業は今は昔である。新聞の普及に大きな役割を[...]
2025年02月24日
コラム「虎視」
トランプ大統領の顧問を務めるイーロン・マスクは、南アフリカからカナダを経由して米国に移り住んだ移民の一人である[...]