2021年2月15日 オピニオン » 1414号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 中国が鉄スクラップや非鉄金属の輸入規制を一部緩和したため、古紙への待望論が巻き起こっている。だが、ハードルは相当高いのではないか。包装資材にはプラなど代替素材があり、鉄・非鉄といったインフラや景気対策に関わる素材とも根本的に異なるからだ。仮に日本だけ古紙輸入解禁すれば、世界中から低品質の古紙が経由する懸念もある。

 ▼中国では大手板紙メーカーがパルプ化一貫工場のプロジェクトに乗り出す。パルプ設備は環境負荷が大きく、王子の南通工場以来、新設は太陽紙業や山東晨鳴紙業に限られた。しかし、政府は非木材パルプの増産を認め、今回も化学パルプ設備を認可するなど方針を転換したもよう。深刻な古紙不足を経て、全てではないにせよ「脱古紙」が進む展開も予想される。

 ▼なぜ中国は段ボール向けのUKP(未晒クラフトパルプ)の輸入を増やさないのか?実はUKP市場は世界で210万トンほどしかない。①アラウコ、②イリム、③兵庫パルプ、④キャンフォー、⑤王子が五大サプライヤー。市場が伸びないのは、高価な針葉樹チップを調達して付加価値の低い未晒パルプを専抄しても、採算が合わないからだ。会社更生に至った大興製紙もウェットのUKP生産で、輸送上の制約が大きかった。

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