▼中国リスクの1つとしてよくいわれるのが、暴動などによる社会不安の勃発だ。エジプトや中東のような反政府運動が中国全土で拡がれば、経済への大きな打撃も避けられないからだ。中国は過去に天安門事件を経験している。昨年は人権活動家がノーベル平和賞を受賞したが中国政府は黙殺。最近では人権擁護派の弁護士や芸術家など数十人が相次いで政府に拘留された。
▼こうした中国政府の人々を抑圧する動きに、国際社会からは批判が高まっている。前号で報じた日本資本による現地ヤードでも、従業員が政府への不満を口にすることも少なくないそうだ。とはいえ天安門事件当時に比べると1人っ子政策が奏功し、若年層が大幅に減少。高齢化社会に突入した中国に、もはや暴動を起こすエネルギーは残されていないとの見方もある。
▼かたや隣国のインド。中国を意識してか、民主化を遂げた世界で最も人口の多い国と標榜する。20年後には中国を抜き世界一の人口になるとの推計もある。本紙で特集してきたとおり貧富の差は激しいものの、人口の半分超は24歳以下の若年層だ。何事にも交渉が難しい気質もあるが、持ち前の愛嬌やサービス精神は前途を明るく照らす。平和で開かれた社会ゆえの底力に期待がかかる。
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