19世紀にいち早く産業革命が起こり、世界の工場と呼ばれた英国。しかし1970年末には欧州の病人と呼ばれるほど深刻な状況に陥った。1979年から90年まで率いたサッチャー首相は、自動車産業等の外資の積極的な誘致策を進めた。製造業に見切りをつけ、金融や不動産・サービス業にシフトしたことで、GDPは上向きとなったが、結果的には製造業の更なる衰退を招いた。
▼現在の英国の名目GDPにおける製造業の比率は、わずか10%。90年代初頭に比べて半分の比率にまで減少している。他国と比較すると、2000年代から世界の工場として君臨する中国は40%とかなり高い。またドイツは24%、日本は22%、米国は11%と低くなっている。
▼製紙業においても、英国はこれまで輸入紙に頼ってきた。2002年から生産量を輸入量が上回った。森林資源が豊富な北欧諸国が近いことや、原燃料や賃金の高騰もあり、2000年以降は生産量が年々減少している。自国の製紙業が縮小していく中で、回収量の半分以上の古紙が余剰し、それを中国等に委ねてきた。今後はEU離脱、中国の輸入禁止等で更に困難な時代を迎えるが、数10年間の古紙余剰時代を経験していることもあり、逞しく感じた
2025年03月17日
コラム「虎視」
シリコンバレー発のGAFAなどの新興企業がもてはやされる陰で、米国の製造業は着実に衰退してきた。製造業付加価値[...]
2025年03月10日
コラム「虎視」
愛媛県四国中央市で紙づくりが始まったのは江戸時代半ばの1750年頃と言われている。豊富な水と原料に恵まれたこと[...]
2025年03月03日
コラム「虎視」
丸住製紙が今年3月末で新聞用紙の生産を終了する。花形だった新聞用紙事業は今は昔である。新聞の普及に大きな役割を[...]
2025年02月24日
コラム「虎視」
トランプ大統領の顧問を務めるイーロン・マスクは、南アフリカからカナダを経由して米国に移り住んだ移民の一人である[...]