2020年1月20日 オピニオン » 1361号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 古紙再生促進センターによると、昨年1―10月の古紙回収率は79.1%と、前年比2.5ポイント下落した。回収量も昨年10月までで76万トン減っている。この間、紙・板紙の内需は62万トン減、前年比2.7ポイント減だった。景気や天候の影響で紙・板紙の内需が落ち込んだにせよ、一部の古紙はごみ化している可能性がある。

 ▼事業系の古紙では、採算が合わないものは回収を取りやめたり、回収コストを発生元に求める「逆有償」の方式が浸透しつつある。家庭系の古紙は、スーパーでのポイント回収や無人回収拠点など多様な回収方式が広がっていた。しかし、コストが膨らむポイント回収は、各地で撤去する動きも散見される。この春、行政回収の売払いでは入札不調が頻発する気配もある。

 ▼問屋にとって、国内販売枠は採算が取れるが、回収コストすら賄えない輸出枠が赤字の元凶だ。輸出不況が続けば「損切り」の動きが増えかねない。つまり国内枠だけを集めて、輸出枠の回収は取り止めるわけだ。そうすれば回収量が激減し、回収システムを揺るがすだろう。防波堤となるのは、国内メーカーの生産増である。春にも転抄マシンの稼働が予定され、古紙回収システム維持のためにも、原紙輸出の拡大が待たれる。

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