2019年9月2日 オピニオン » 1342号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 再生パルプは需要地×古紙の使用品種×生産コストのマッチングが容易ではない。間隙を縫って台湾や米国では生産を増やしている。永続的な事業は期待できないにせよ、日本でも緊急避難的に再生パルプの輸出拡大はできないのか?日本では余剰問題が長期化しそうな気配で、将来的に160万トン前後の古紙がダブつく可能性があるからだ。

 ▼カギは古紙の使用品種にありそうだ。台湾では各社が軒並み再生パルプの生産に乗り出す。在庫が増えた輸入古紙を活かし、その仕様は段原紙と同じ巻取り状だった。これを中国の段原紙メーカーが再度パルパーで溶かして使う。米国でも再生パルプの能力が2021年末までに200万トンに達する見通し。中国系メーカー主導によって現地工場を買収し、数百億円もの投資で増産に動いている。

 ▼両国で共通するのは原料が米国の段ボール古紙であることだ。再生パルプはいわば半製品なので繊維の質にこだわってこそメリットが出せる。日本でも余剰感が強いのが段ボール古紙だが、米国品に比べて繊維強度が劣る。台湾の再生パルプ事業は、古紙の輸入国であり、ビジネスチャンスに対する貪欲さ、機敏さがあってなせる業だった。やはり日本の余剰問題ありきの方策では難しい?!

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