▼スマホの爆発的な普及で、情報媒体として紙がもつ「手軽さ」まで圧されつつある。アベノミクスによる景気回復の途上にあっても、国内の紙・板紙需要が劇的に回復するというわけにはいかない。ところで2020年の東京オリンピック開催が決まり、五輪特需が期待されている。7年後の日本の紙・板紙市場はどう変化するだろうか。
▼初の東京五輪を催した1964年の紙・板紙生産量は737万トン。前年に比べて15.5%増と激増した。一方、最近の2大会をみてみると、2008年の北京五輪では、前年の7,350万トンから7,980万トンまで伸び、対前年比で7%増えた。2012年のロンドン五輪では前年の434万トンに対し、440万トンと2%増に留まった。過去の東京や北京で大きく増えたのは、経済成長の真っただ中という時代背景もあろう。
▼先進都市であるロンドンでは、なるべく環境負荷を抑え、省資源や持続可能性をテーマにした五輪に徹した。「ゼロ・ウエイスト・ゲーム・ビジョン」なるコンセプトまで掲げ、廃棄物を発生させない競技運営を実践した。日本もこの流れを継ぐならば、紙・板紙の需要拡大だけでなく、日本型リサイクルを世界に伝える好機とも捉えたい。
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